2023年5/6昼席「新開地喜楽館」(ゴールデンウィーク特別公演)
新開地喜楽館にやってきました。新開地喜楽館は天満天神繁昌亭に次ぐ上方落語協会の定席です。開館に至るきっかけは2014年に当時の上方落語協会の会長だった桂文枝が「神戸あたりにも上方落語の定席を」と発言したと報じられたのをきっかけに、地元商店街より寄席開設の要望が上方落語協会に寄せられたそうです。一旦は凍結されたそうなんですが、その後県・市の協力を得て検討が再開されて2016年秋に上方落語協会の臨時総会で事業推進を可決。2017年3月に上方落語協会・兵庫県・神戸市とNPO法人の間で協定が締結される。建設費の2億円は半分が国からの補助、残る半分が兵庫県と神戸市の助成で贖われている。2018年7/11にオープン。
新開地喜楽館吉本興業・松竹芸能・米朝事務所の影響をできる限り受けない形での運営のはず。
落語自体聞くのも前回天満天神繁昌亭に行った時以来ですか。この日の公演内容はこちら。
笑福亭喬路「看板の一」
桂三実「真田小僧」
笑福亭喬介「牛ほめ」
ラッキー舞「大神楽」
笑福亭仁智「源太と兄貴」
ーー仲入りーー
笑福亭松喬「借家階段」
林家菊丸「湯屋番」
桂文枝「赤とんぼ」
正直に書きます。本当は翌日の5/7の笑福亭鶴瓶が出演する日が観たかった(爆)と。笑福亭鶴瓶がこういう寄席小屋の定席に出演するのは滅多な事がない(人気タレントだし)と出演しないし、他にも桂小枝笑福亭鉄瓶が出るので観たかったんですがSOLDOUTだったので断念。5/6の桂文枝が出演している日はまだSOLDOUTになっていなかったので購入した訳なんですが。創作落語の祖と言われている桂文枝の落語を一度は観たかったという思いがあったので、楽しみにして足を運びました。

新開地喜楽館にやってきた訳なんですが、天満天神繁昌亭が寄席小屋という雰囲気だったのに対して、新開地喜楽館はビルの中に入る感じだったかな?神戸という雰囲気に合わせてなのかな?と思いましたが。ロビーを通って客席に入る訳なんですが、今度は打って変わって和な感じの雰囲気なんですよね!!木材がふんだんに使われている。今回は立ち見ではなく席に座って観る事ができました。席は"B−2"という左端な席だったんですが、意外と観やすかったかな?

ここからレポに入る訳なんですが、先に書きますが私落語は詳しくありませんので、落語に疎い人間からのレポだと思って下さい。


最初に登場したのは開演前の一席の笑福亭喬路笑福亭喬路の一席だけ客電がついていたんですが、音楽ライブで言う所のオープニングアクトみたいな形なんでしょうか?噺が始まった時に自分の席に座ったので、途中からになってしまったんですが賭博でのいかさま噺だったかな?途中から滑稽話になっていったのが印象的でした。

ここからが本公演だそうです。最初に登場してきたのは桂三実。おそらく桂文枝が前名時代(三枝)の時に弟子入りされたんだろうなと。枕で髪を染めている落語家は少ないで掴んだ後、小学校での落語会について話していました。学校での落語をやった後に 感想が送られてくる(今更ながら、あれってちゃんと本人に届いていたんだ)訳なんですが、小学校の児童さんは正直だと。寿限無のネタの時に寝てしまってごめんなさいだとか、ネタについてのダメ出しだとか。この後に噺が始まるんですが、子供が父親にお小遣いをねだるんですが、その話を断った後に母親が男を家に連れ込んでという話を息子がする訳なんですが、その話に父親が興味を持った所で打ち切って「話が聞きたいのなら一銭」とお金を要求してきて話を続けるんですが、話がいい所になると打ち切ってさらなる追加料金を求める息子。話が聞きたいからお金を払う父親が非常に滑稽。で、結局母親が連れ込んだ男は病院の先生だと知ってがっかりする父親。この後、母親がいつも息子に騙される父親の話が非常に楽しみにしているそうで、その話を求めたんですが、最後の話のオチが非常に良かったと思いました。

次に登場してきたのは笑福亭喬介なんですが、枕が桂三実と同じ学校での落語会だったんですが笑福亭喬介の方がよりファンキーだったなと。生徒会の副会長の紹介の仕方が上から目線だったり、学校の先生の注意が苦行な感じだったりと。生徒さんに関しては仕方がないとは思うけど先生がそれを言ってはいけないと。演者とお客の距離が広がる事は業界用語で"溝が深まる"というらしいですが、ある時の学校の落語会であまりの荒れように笑福亭喬介のマネージャーが舞台に登場してきて、今回の落語会の値段を言って荒れた生徒さんを黙らせようとしたんですが、その値段にタレントとマネージャーの溝が深まってしまったと言った後に噺が始まる訳なんですが、ネタの方は頭の悪い方が家を褒めるネタで、なかなか頭の中に入っていかないのでカンニングペーパーを用いながら褒めていくんですが、このネタどこかで聞いた事があるなと思ったら、天満天神繁昌亭で桂九ノ一がやっていたなと。ただ爆笑が起きていたのは笑福亭喬介だったので、間とか演技の仕方とかで笑いが変わっていくのだなと。

次に登場してきたのは色物のラッキー舞。曲芸を披露するんですが、色んなものを回していました。傘の上で升を回していたり、口に棒を咥えてサッカーボールを回したり。一番凄かったのは出刃包丁を用いての皿を回す曲芸ですか。これぞプロの技だなと。

3番目に登場してきたのは笑福亭仁智。名前からして笑福亭仁鶴のお弟子さんでしょうね。そして今回の公演で総合的に1番面白かったのがこの人でした。枕は夢グループの通販から始まり、プロ野球解説者の川藤幸三さん福本豊さんの話をされていたんですが、誰しもが思っていた事を上手い事つっこんで笑いを取っていました。噺の方も今や斜陽産業となった極道の兄貴と弟分のネタだったんですが、ここでも爆笑をとりまくるし面白かったんですが、ボケではなくてツッコミで笑いをかっさらっていく落語の様に思いました。

仲入り後に登場してきたのは笑福亭松喬。段々と蒸し暑くなってきたら怪談噺の季節がやってきたという訳でネタは怪談噺なんですが、家を借りにきたらあまりにも高額だったため理由を聞いたら幽霊が出てくると。幽霊が出てくるのは殺されたのは未亡人で、その未亡人の住んでいる所に泥棒が忍び込んだと。お金を取るのではなく家主がお金を払っているが良く頑張って3日しかいる事が出来ないというネタだったかな?ここら辺でウトウトし始めてしまいました・・・。

次に登場してきたのは林家菊丸なんですが、この林家という屋号は江戸の方だけかと思ったんですが、上方の方にもあるんだと。枕は繁昌亭よりも喜楽亭の方が好きだと。喜楽亭は枕を素直に受け取って笑ってくれるが、繁昌亭はお客が枕について本当かどうか聞いてくると言った後に噺が始まるんですが、銭湯の番台での妄想話ですか。話のテンポが心地良かったからか途中で夢の国に行ってしまいました・・・。

ラストに登場したのは、この日のお目当ての桂文枝。この人がいなかった(行動力)ら、繁昌亭も喜楽館もそして関西における定席の寄席小屋が誕生するのがもっと遅かった、もしくはずっと誕生する事がなかったと言っても過言ではないかと。枕は最近の歌はまったく分からないと。こないだ取材でデイケアの方に行ってきたけど、そこで入居している人たちが歌われるのは童謡唱歌だと。童謡唱歌は年代を問わないと言った後に噺はその童謡唱歌がテーマだった訳なんですが、「どんぐりころころ」の4番を作って歌をエンドレスにしたのは凄いなと。そして2周目の1番の所に自身のギャグを入れてきたのはさすがだなと。あとはですね話のテンポがいい意味でスローなんですよね!!話の世界に引きずりこませやすい様にとでも書いた方が正解なんでしょうか?ラストのオチも上手いなと思ってしまいました。

1番印象に残ったのは笑福亭仁智でした。次はこの人目当てで落語を聞きに行きたいなと思ったくらい!!噺が面白いという所もさる事ながら笑福亭仁智自身が面白い人だなと。そして桂文枝の落語を聞いて創作落語の意味を改めて知ったと。"次代に残すため"の落語だという風に聞いたんですが、テーマが普遍的で分かりやすかったしこの日の落語の中では1番現代的であったし、情景が浮かぶネタだったと思いました。その一方でネタの時には気にならなかったんですが枕の時のしゃべりが"呂律が回っていなかった"様に感じました。
あと足を運んでいないのは吉本興業の「なんばグランド花月」松竹芸能の「心斎橋角座」なんですが、そこに行く事ができるのはいつの日か?そしてもし機会があれば東京の「新宿末廣亭」「鈴本演芸場」にも足を運んでみたいなと。いつの日かは分かりませんが.・・・。

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